-
気持ちの安定にも、声を操ることにも重要なのが「呼吸法」です。
- 会社でちょっとイライラした直後に、落ち着ける場所で
- なるべく人気のない、自然に囲まれた場所で
- お気に入りのカフェで、芳ばしいコーヒーや紅茶の香りに包まれながら
- お湯をはったカップにお気に入りのアロマオイル(ラベンダー・オレンジ・ミント
などがお求めやすいラインナップだと思います。お好みでどうぞ♪)を数滴
たらし、その香りを吸い込みながら - お風呂に好きな入浴剤を入れて
- 好きな音楽を聴きながら
- 電車の中で座りながら
私たちは食べ物をとらなくても数日間は生きられますが、呼吸が出来なくなると、
生命維持ができません。それ程に生きる上で重要な、でもあまりにアタリマエに
なっている「呼吸」。
そしてこの「息の流れ」は、声を作る材料としても、非常に重要な役目を果たします。
「ない」と答えた方、今までに意識して呼吸しようという発想を持ったことはありますか?
「呼吸」というのはそれほど、無意識に行っているのですね。無意識でする行為と
いうのは、意識しない状態で行うということですから、とても自然に行っているんです。
自然に行うことをただ繰り返しているだけでは、レベルを深めていきにくいので、ここで
あえて意識して呼吸してレベルアップをしてみましょう!
まず、椅子に座ってみてください。
高さのちょうどいい椅子(足が床に着き、膝と腰の高さが同じくらいになると良いです。)に浅めに座り、片手の手のひらをおへその下あたりの下腹部にあてます。そのまま上体を前に傾けてみましょう。(頭を45°位前方へ)その態勢でできるだけゆっくり、なるべく長く吐ける様に、少しずつ口から息を吐き出していきます。吐き出し続けていくと自然と吐くのを止めたくなる感覚になると思います。そうしたら、3秒ほど止めます。(力はいれないでくださいね。止めたくなる感覚に素直に従うようにします。)そして、鼻から息を吸います。(吸うことを許してあげる気持ちになると自然にスッと息が入ってくると思います。)お腹にあてておいた手が膨らみを感じるのが分かりますか? 最初は慣れなくて難しく感じるかもしれませんが、ここまでを5〜10回程繰り返してみましょう。
さて繰り返してみてどうですか? 気持ちが自然と落ち着いてきませんか?
世の中に存在する、潜在意識に働きかけて個人の中に眠っている能力を引き出したり、パターンを入れ替えたり、枠を広げる手段では、必ずといってよいほど一番最初に呼吸法(腹式呼吸)をやることが多いです。(分かりやすいところで言えば、瞑想・ヨガ・気功・太極拳・催眠術など。)
そして、精神的に不安定な人ほど、呼吸が浅くなると言われています。
ということは、意識的に呼吸を深くすることができれば、精神的にかなり安定した状態を保てるのではないのでしょうか?
「メンタルマネジメント」なんて言葉がありますが、呼吸はかなり精神をいい状態にマネジメントすることに役立つ手段だと思います。 なんていったって「タダ」で出来ますから!笑
是非さっきの呼吸を、色々な状況で試してみてください!
など、日常のちょっとした時、「ちょっとイライラしているな」という時や、「少し大変な仕事の前」や、「苦手な人と会う直前」に、バランスをとる意味でやってみてください。
また、あえて調子のよい時にやってみて、息の入り方がよい事を確かめてみるのも
面白いです!
上記の例の中には「音楽で聴覚を刺激しながら」、「香りで嗅覚を刺激しながら」、「湯舟に浸かって心地よい暖かさを感じながら」「眺めの良い景色を視覚でとらえながら」など、味覚以外の五感を心地良く刺激しながら行うことをチョイスしてみました。
あなたの感性を、のびのびと解放してあげてみてください。感受性が豊かになり、毎日
体験する出来事の色鮮やかさをはじめとする様々な感覚が次第に変わってくると思い
ます。
ちょっと話が脱線しましたが、精神状態がある程度安定したここから、
声の為のトレーニングをはじめていきましょう!
皆さん、たて笛を覚えていますか?
小学生の時に音楽の授業で触れた機会があるのではないでしょうか?
笛の音は息を吹いてはじめて鳴るようになっています。
人間も息を吐く時に声が出るような構造になっています。
人間は酸素を体内に取り入れて、二酸化炭素を体の外に
出すことで生きているのですが、息を吐く時に声を作る「声帯」が振動させられた時、
声が作られます。「唇プルプル」で試してみるとイメージしやすいです。
「唇プルプル」というのは、上下の唇をくっつけて、その状態を保ったまま息を吐こうと
すると唇が振動して、「プルプル」と鳴ることをいいます。
これをやってみると、ずっと「プルプル〜」し続けて音程をつけて歌うことも上手くできる人と、「ブブッ」とすぐにとまってしまう人がいるのです。
息の量が十分でなかったり、多すぎても少なすぎてもうまく続かないのですね。
また、唇に力が入りすぎていると、うまく「プルプル」し続ける事ができなくなります。
さあ、あなたも「唇プルプル」をやってみましょう!
やってみてどうでしょう?「プルプル」はどの位できましたか?
できた人も、イマイチ上手くいかなかった人もいるかもしれません。できなくても心配しないでくださいね!声がどんな仕組みで出されているのかをイメージしてしやすくする為にやってもらっただけですから。
声はどう出されているかというと、まず肺から吐く息の流れ
があり、ノド仏の中にある声帯が唇で試したように合わさってプルプルと振動することで音が誕生します。その音が体の中の様々な場所で響くことによって、声に色がついて来ます。
私はこういう表現が好きなのですが、最初は無色だった声が、体のどこかで響くようになってくると何色かの色付けが
なされていく様に思えるのです。爽やかな空の色を連想されるような声だったり、繊細な金細工を思わせる様なキラキラした声。いずれも魅力的な素晴らしい声になっていきます。
最終的に望みどおりの色をつけていく為には、まずはじめにきちんと声が出せる必要があります。それには十分な息の流れと、「プルプル」が順調に行われるように唇にあたる声帯を万全な状態に整える必要があるのです。
ですのでまず、呼吸法からいきましょう。
呼吸法というと何だか大げさになってしまうのですが、私たちは生きている以上、呼吸をしているはずです。でないと死んでしまいますからね。声をしっかり出すには、ある一定の呼気(吐く息)量が安定して供給できる必要があります。歌はもっとそうです。歌の中で情緒を表現するためにはもっと高度なレベルで呼吸ができていた方がやりやすい
のです。
普段の生活と、走った後では息の吸い方が変わりますよね? 走った後の方がたくさん息を吸いたくなります。早くたくさんの息を肺に取り込むために、肩が上下しますね。
肩が上下する呼吸は胸が動くことから「胸式呼吸」といわれています。この胸式呼吸、
確かにたくさん息を吸えるのですが、声には致命的なデメリットがあるのです。
肩が上下するということは、声を作る声帯が収まっているノド仏(喉頭といいます)がある喉全体の筋肉を緊張させて、働きに影響を与えてしまうのです。この呼吸法だけを続けていては、喉に力が入るという事を回避できないので、問題を解決できません。
歌に向いている呼吸法をマスターしていく必要があるのです。